大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(ネ)551号 判決

控訴人は、右手形に受取人として記載されている広洋発条製作所は法人でも自然人でもなく権利能力がないから、本件手形は手形要件を欠く無効のものであると主張するけれども、凡そ手形面に表示すべき当事者は形式上記載されておればよいのであつて、それ等の者が権利能力を有するか否かは問うところでないばかりでなく、その表示の方法も、苟も本人の同一性を認識し得る限り氏名以外の商号、通称又は雅号等を記載するも差支がないものというべきところ、原審証人榎並勇三、宮崎春吉の各証言によれば右広洋発条製作所は訴外榎並勇三が個人で経営するバネ製作所の商号であることが認められるから、右手形はもとより手形要件を欠くものでなく、有効であつて、その受取人は訴外榎並勇三であると解すべきである。従つて、控訴人の右主張は理由がない。

而して成立に争のない甲第一号証、原審証人榎並勇三、宮崎春吉、宮崎ノブの各証言を綜合すれば、受取人たる訴外榎並勇三は右手形の第一裏書欄に裏書人の氏名として広洋発条製作所代表者榎並勇三と記載して右手形を被控訴人に譲渡したことが認められ、右裏書は受取人の記載と連続しているものというべきであるから被控訴人は正当なる所持人として本件手形上の権利を有するものである。

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